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【医薬品】IoT事例

更新日:2022/02/09
医薬品イメージ

米国FDA、欧州EMAなどの規制当局がデータインテグリティを基点とした監視を強化していることで、日本の製薬業界も、データインテグリティへの対応が急ピッチで進んでいます。

そもそも、データインテグリティとは何か

「データ完全性」とも呼ばれ、要はデータが完全で一貫性があり、正確であることを言います。

良いデータだけを残して、そうでないデータは削除するような不正がないようにすることが目的です。

データインテグリティの要件であるALCOA(アルコア)原則を守る必要があり、そのためには紙の記録では非常に手間がかかり、困難。

そこで、新しいソリューションが求められているのです。

ALCOA原則

  • Attributable(帰属性):データの所有者・帰属・責任が明確
  • Legible(判読性):全てのデータが判読でき、理解できること
  • Contemporaneous(同時性):データの生成と記録が同時であること
  • Original(原本性):データが原本であり、複製や転記ではないこと
  • Accurate(正確性):データが正確であり、信頼できるものであること

ちなみに、EMAでは上記に加え、CCEA原則が求められます。

  • Complete(完全性):データが完全であること
  • Consistent(一貫性):データが一貫しており、矛盾がないこと
  • Enduring(耐久性):データが永続的であること
  • Available when needed(必要時の有用性):データが必要なときに利用可能であること

どうデータインテグリティに対応するのか

ご説明した通り、品質・製品管理のために、SAPアプリケーションなどの上位システムに、生産や包装工程のあらゆるデータを記録することが必要になります。

ここでは、データインテグリティ先進国である、ドイツの老舗医薬品包装機メーカー・Romaco Pharmatechnik GmbH(以下Romaco社)の事例をご紹介します。

厳しいEAMの要件を満たすため、Romaco社では、熱成形機・ヒートシール機・カートナ・充填機などに、可視化ソリューションとしてzenonを導入しました。

zenonの優れたグラフィック機能により、作業者は重要性や関連性により分類されたエラー、警告などを確認し、障害やエラーの原因が簡単に特定できます。これらのエラーメッセージはすべてzenonに保存され、エクスポートし記録として残すことができます。

Romaco社では60種類以上の製品のUI開発にzenonを使用し、各製品のUI標準化を進めています。

メイン画面では装置概要から装置の各コンポーネントが色分けされて表示され、各パラメータ(送り寸法やブリスターの寸法など)設定画面を表示することができます。診断画面では、各センサー入出力などの装置の状態が表示され、統計画面では、各処理時間、正常品の生産量、リジェクト率などの統計情報が表示されます。

また、医薬・食品などの包装ラインでは、コンプライアンス要件を満たすことも重要です。米国食品医薬品局(FDA)のガイドライン”21 CFR Part 11” では、電子的に保存されたデータも、紙の文書と同じ基準に従うことが要求されています。Romaco社では、“zenon” の 監査証跡機能(CEL、イベント履歴リスト)を活用し、この基準を満たしています。Romaco社のお客様は、機械や装置の関連するすべてのイベントをフィルタリングして表示し、プロセス・イベント、値の変更、ユーザー入力などのイベントを文書化することができます。また監査証跡は、不正に操作されないように改ざん不可能な形で保存されます。

Romaco社では、zenonを導入したことで、競争の激しい医薬品市場において、競合他社との差別化という要件を達成し、顧客の幅広い要件を満たし、生産・包装分野での日々の作業を最適にサポートできる費用対効果の高いソフトウェアソリューションをお客様に提供しています。

引用元:RINX https://linx.jp/casestudy/zenon-romaco/

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