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【物流】IIoT事例

更新日:2022/12/12
物流イメージ

全国12箇所の物流センターの
一元管理と在庫の見える化

ミスタードーナツは、全国12か所の物流センターで約1,300の店舗に供給する原材料の保管と配送を行っています。主力の商品のドーナツは店舗で製造されているため、物流センターから店舗に必要な原材料を発注数に応じて日々発送しています。

しかし、現行のシステムでは、業務ごとにわかれているため、賞味期限管理や全物流センターの在庫コントロールなどの業務において、全体の把握に時間がかかっていました。

そこで、ミスタードーナツでは、これらの問題を解決するために、IoTを活用して、全国12か所の物流センターで、主要な原材料の総在庫数をリアルタイムに把握できる「新物流システム」を構築し在庫の見える化を実現しています。

参照元:NEC(https://jpn.nec.com/press/201206/20120627_01.html
obniz(https://blog.obniz.com/blog/iot-logistics.html

物流センターから店舗在庫までを見える化

ミスタードーナツの新物流システムの特徴としては、Webシステムを活用して、全国12か所の物流センターから約1300店舗に供給する主要な原材料の入庫、出庫を一元管理することで、全国の各物流センターの在庫が、本部や全国12か所の物流センターで確認することができます。

これにより、在庫状況が把握できることで、在庫に応じた出荷物流センターの切り替えが可能になり、タイムリーに効率よく輸送指示ができるようになっています。

そのほか、無線ハンディーターミナルと、二次元バーコードの導入をおこない、原材料商品ケースに二次元バーコードを貼り付け、物流センターの入荷、格納、出荷以外に、店舗への納品時の受け入れ検品や棚卸にも活用されています。

そのほか、賞味期限切れや出荷期限切れ在庫などについても、自動でアラートリストが作成され、不要な在庫の移動や廃棄処理業務の軽減にもつながっています。

ミスドの今後のIoTの活用方法

今後、ミスタードーナツでは、二次元バーコードに製造ロットや別途管理している賞味期限情報を含めることを目指しており、商品の詳細情報や出荷歴、在庫状況を製造ロット別に把握することで、より一層安全、安心で、きめ細かい在庫管理の実現を目指しています。

医薬品の輸送

医薬品の製造における製造管理と品質保証水準を補完するものとして、流通過程の品質管理の範囲を保管や輸送まで広げた、GDP(Good Distribution Practices)が生まれたことで、医薬品の輸送業では、温度管理に厳格な医薬品の輸送を高いレベルで実現する必要が求められています。

医薬品の輸送を行っている中央運輸株式会社では、GPSを活用した、医薬品輸送の位置情報の取得の実現や、温度センサーや湿度センサーなどのデバイスを使い、医薬品の温度・湿度を監視し、携帯電話ネットワークを使い、データをサーバーに送信することで、リアルタイムに位置情報、温度情報、湿度情報の把握が可能になっています。
このことで、輸送中の医薬品の温度や位置情報をもとに、異常時の初動対応が迅速に行えるようになっています。

そのほか、温度管理機器が装備されていない協力会社の車両でも温度管理を行うことができるようになっています。このシステムの導入により、医薬品の品質に厳格なお客様の信頼度が上がっています。

参照元:upr(https://www.upr-net.co.jp/case/iot/usecase-8.html

業務用倉庫の不正侵入監視

業務用倉庫では、突発的な案件で稼働中の倉庫で保管できなかった、商品や部材を警備システムが無い倉庫で保管しなければならないケースが問題になっています。

この問題を解決するために、通常稼働していない業務用倉庫の非常ドアと搬入扉に磁気センサーを取り付け、扉の開閉情報を取得し、携帯電話ネットワークを使い、クラウド上に送信を行っています。このクラウドに送信されたデータは、Webアプリケーションにあらかじめ設定されているメールアドレスにアラート情報をメールで通知しています。また、扉の開放時には、ブザーを鳴らし侵入者への警戒も行っています。

このことで、突発的な案件に対応できる業務用倉庫の活用ができるようになり、顧客の要望に応え短期間での納品を実現できています。また、不正侵入用への警報ブザーでの威嚇や、担当者への通知機能により、警備システムの導入コストを抑えるとともに、短期間での導入を実現しています。

参照元:upr(https://www.upr-net.co.jp/case/iot/usecase-7.html

物流作業効率化とコストダウン

アサヒビール株式会社では、洋酒類製品は在庫拠点から毎日出荷する分だけを仕分け倉庫に輸送し、倉庫で届け先ごとに仕分け・出荷を行っています。このことで、日々、品種別パレットから商品を探し出し、届け先別に分ける作業の多く手間と時間を要している問題がありました。

これらの問題を解決するために、ICタグとエコバンドを活用し、社内物流の効率化を行っています。

アサヒビールの物流システムの特徴として、商品が乗ったパレットを重ねた「やま」ごとに張り付けたICタグ内に保存されている、商品の地域や届け先情報、数量情報を読み取り、届け先ごとに分類ができるシステムを構築しています。

これにより、従来多くの手間と時間を要していた仕分け作業を大幅に削減に成功。また、従来パレットごとに使っていた梱包フィルムの代わりに、リユース可能なエコバンドを利用することで梱包廃棄の消滅につながっています。

新物流システムの導入により、顧客への納品リードタイムを最大1日分短縮が可能になっています。また、フォークリフトに稼働時間を24%短縮できたことで、CO2排気量が27.6減少したことや、梱包フィルム使用量が70%減によるコストダウンも実現しています。

参照元:トッパン・フォームズ株式会社(https://rfid.toppan-f.co.jp/example/detail06.html

手作業工数の削減

物流業界においては、モノの管理を行う際にハンディデバイスによるコード読み取りを行っています。ただし、大量のダンボールのコードをスキャンする必要があることから膨大な工数が発生するため、工数の削減が必要な状況となっています。そこで、日本システムウエアでは、ハンディターミナルの代わりに設置型カメラを用いたOCRソリューションを開発しており、ここにHALCONのDeep OCR機能が用いられています。

ハンディターミナルの代わりに設置型カメラを使用してコードを読み取る場合、コードサイズなどによっては読み取り不可能であるケースもありますが、Deep OCRを用いることにより文字の向きフォントに依存せずに高い精度での文字認識が可能です。そのため、ダンボールがきちんと整列されていない状況でも対応が可能となります。

例えば、文字が上下反転している場合、文字同士が隣接しているために文字領域を抽出するのが難しいといった場合など、既存のルールを元に下処理では対応が難しいケースでも、Deep OCRを用いることによって処理を行えます。この場合でも、難しい前処理は不要であり、画像を読み取り関数に渡すのみで文字領域を検出したり分類するといった処理の実行が可能です。

現在はパイロットユーザーにてフィールドテストを実施中であり、量産に向けた開発が進められている状況です。さらに、クライアントの用途に合わせた柔軟な構成にも対応できるため、検品作業の工数を大幅に削減できるソリューションとして期待されています。

参照元:LINX製品紹介サイト(https://linx.jp/casestudy/deep_ocr_nsw/

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