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IIoTの投資コストに見合う成果とは

更新日:2022/01/28
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IIoTの投資コストに見合う成果とは
  1. 総務省の過去の調査では導入コストを分散させる企業が多い
  2. 既存ソリューションや汎用ソフトの活用で、コストの圧縮は可能

毎年少しずつIoT導入する企業が多い

近年、コスト削減や付加価値の向上を目指し、製造業では、IoT技術の導入が急速に進んでいます。それに伴い、技術開発や標準化に取り組む企業も増えてきています。

しかし、国際的にIoTの導入が進むなか、日本の導入実績は、米国の半分程度にとどまっています。また、IoTの導入意欲においても、日本では、ほかの先進国に比べ、IoTに対する投資額も低く、日本におけるIoT導入は、まだまだ順調には進んでいません。

とはいっても、日本も、ほかの先進国より遅れを取りながらも、日本の企業でも、少しずつ導入する動きは見えてきています。

平成28年に総務省が、従業員100名以上の企業620社に対し行った「IoTの日本国内における経済貢献および日本と諸外国のIoTへの取組状況に関する国際企業アンケート」によると、IoTの導入にかけたコストが前年の売上高に対し、0%と回答した企業は、26.1%、一方3%から40%未満と回答した企業は、全体の約70%を占めています。なかには50%以上と回答をしている企業もあります。

さらに、IoT導入ソリューションに、これまでかけた年間設備投資額よりどのくらい投資が増加したかのアンケートでは、増加してない企業は、全体の約30%、一方、増加したと回答をした企業は、全体の約46%となっています。しかし、中でも10%未満と回答した企業が約29%ともっとも多く、大きなコストをかけてIoTの導入を進める企業は少なく、少しずつできるところからIoTの導入を進めて行く企業が多いことがわかります。

このアンケート結果から推測すると、日本企業は、IoT技術は数年で飛躍的に進化をしていることを見据えて、一気にIoT導入を進めるのではなく、毎年少しずつ、もっとも最適な部分にIoT技術を取り入れている印象があります。

しかし、あくまでこれも6年前の調査。現在はもう少し前進しているはずです。

IoT導入している業種

次に、既にIoT導入していると回答した企業を業種別にみていくと、農林水産業11.9%、製造業12.8%、エネルギー・インフラ業13.4%、商業・流通業7.8%、情報通信業14.7%、サービス業9.0%となっています。この結果で驚くのは、製造業の導入率の低さです。

さらに、製造業の今後のIoT導入の予定について、アンケートの結果を見ていくと、まだ導入していないが、今後は予定があると回答した企業は、製造業47社中約6.4%と低く、今後も導入しない、予定していないと回答した企業は、約30%と高く、既に導入している企業と、今後、導入予定の企業をたしたとしても、米国の製造業のIoT導入率に比べると、まだまだ低いと言えます。

日本の製造業でIoT導入が
進まない理由と解決策

なぜ、日本の製造業は、ほかの先進国と比べてIoT導入が進まないのでしょうか。

IoT導入が進まない理由として、アンケート結果では、投資力の不足が26.1%、既存のシステムとの統合が難しいが30.4%、専門的なスキル不足が21.7%、コスト削減効果が見込めないが21.7%、具体的な利用場面が想像できないが8.7%となっています。

この結果からみて、既存システムの入れ替えを含めた、IoT導入に投資するコストに対し、見合うだけの効果がないのではないかという不安から、なかなか製造業ではIoT導入が進んでいない印象を受けます。

とくに日本では、既存ソリューションやソフトを活用するのではなく、自社のためにフルスクラッチする傾向があり、そうなるとコストが嵩むのは当然。

既存のものを活用し、コストを抑えて最適な形での導入が可能です。遅れを取る前に、まず動き出してみましょう。

今後の企業の動向予測

今後、製造業界では、ますます競争が激化する中で、日本の製造業が勝ち残っていくためには、IoTの導入は欠かせない武器となって行くと予測されます。

IoT導入が進まない理由の、専門的なスキル不足やIoTを利用する具体的な場面が想像できない、コスト削減効果が見込めないなどの問題を自社だけで解決するのではなく、IoT導入に精通した企業と手を組むことで、さまざまな問題を解決し、最適なIoT導入を進めて行くことができます。

参照元:総務省【PDF】(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h28_01_fuzoku.pdf

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