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農業×IoT

更新日:2022/01/26
農業イメージ
農業×IoT
  1. 人材不足・過重労働の解消
  2. 「農業」に対するイメージを変えられる可能性も
  3. 生産過程などの「見える化」が消費者の安心に寄与

農業の課題を解決する「スマート農業」とは

日本の人口減少に伴い、農業に従事する人の数も減少しています。1960年には1454万人いた農業人口も、2015年には210万人まで減っています。その上、農業地域の高齢化や社会資本設備投資の減少は、農業にさらに影響を及ぼすと考えられます。さらに、農業の従事者の平均年齢も66.6歳と高齢化が進み、若者の数も少なく、後継者不足も深刻な問題となっています。

その要因には、農業は「きつい」、「収入が少ない」といったイメージが大きく影響をしています。こうした状況の中で、効率化と一人当たりの生産性を向上させることは欠かすことができません。

このような農業が抱えている問題を解決するには、IoTやビックデータをはじめとしたテクノロジーを活用した「スマート農業」は不可欠です。スマート農業とは、ロボット技術やICTを活用した農業の超省力・高品質生産を目指す農業の新しいシステムのことです。この「スマート農業」は、農林水産省が推進していることから、国を挙げて最先端のテクノロジーを活用することで、農業の抱えている問題の解決に取り組んでいることがわかります。

IoTを活用した農業とは

IoTを活用したスマート農業では、人手不足の解決策として、あらゆる作業を自動化することで、生産性の向上を行います。例えば、トラクターなどの農機を自動走行させたり、従来は人が行っていた農園内の監視など、大規模な生産や管理を最小限の労力で行えるようにします。

また、農作物の収穫量や品質を一定以上に確保するために、さまざまなセンサーを使い、農地や作物のデータを取得し、得たデータをもとに適切な圃場の管理などを行います。そのほか、水や肥料、農薬などのデータに基づき、育成状態や農地のコンディションを分析することで、もっとも適したタイミングでの散布を行うことができます。

さらに、スマート農業では、アシストスーツを着用したり、危険な作業をロボットが行うなど、きつく危険な作業から人を開放することも可能になります。これにより、「農業はきつい」といったイメージを軽減することで、農業人口不足の改善につながります。

これ以外にも、誰もが取り組みやすい農業を実現する為に、経験豊富な農家の技術をデータ化することで、誰もが簡単に高レベルな栽培を行うことができるようになります。一見難易度の高い農作業を誰でもできるようにすることで、農業従事者への若者の参入などを促進することができます。

消費者に対しても、IoTを活用して、生産過程や農作物の詳しい情報などを一般消費者に「見える化」することで、安心で安全、おいしい農作物の提供を行うことができます。

そのほかのスマート農業の取り組み

では、現在スマート農業の取り組みとしては、いったいどんな取り組みが進められているのでしょうか。スマート農業の事例としては、ロボット技術を活用した、農機ロボットの自動操縦技術によって、収穫作業の省力化に取り組んでいます。

そのほか、カメラやセンサーを搭載し画像分析に活用するロボットや、農薬を自動で散布するドローン、レタスなど作物を自動で収穫するロボット、収穫した作物の選果や箱詰めをするロボット、荷物を運搬するロボットなど、さまざまな目的と用途に合わせたロボットがあります。また、従来は大規模農場や食品工場などで使われていた、これらのロボットが安価になり、身近な農家でも使えるレベルになるように導入コストの低減が進んでいます。

さらに、スマート農業では、実作業だけでなく、人にしかできなかった、果実の収穫タイミングの判断や、かたち、サイズの選別を、Aiと組み合わせることでロボットに任せる取り組みも進んでいます。

スマート農業で解決する課題

スマート農業で解決できる課題としては、人が作業しなくても自動で作業が可能なロボットの登場により、長時間の作業ができることで、これまでに、人手不足により広げることができなかった圃場の規模拡大ができることで、生産量の増加が見込めます。さらに、人件費もかからないことから、従来よりもきめ細かい栽培が実現できます。

農業はきついというイメージも、スマート農業が本格化していけば払拭することができ、若者の農業への参入も期待できます。そのほか、経験豊富な農業技術をデータ化することで、経験の少ない人でも農作業が簡単に行え、農業初心者であっても農業に取組みやすくなります。

それ以外にも、農業は収入が低いというイメージも、データをコンピューターで分析することで、経験によるノウハウは必要なく、誰でも品質や収益性の高い作物の栽培が可能になります。

これらのことから、スマート農業の導入により、農業は「汚い、きつい、収入が少ない」などのマイナスイメージの払拭ができ、農業が抱えている「労働者不足」と「後継者不足」の解決へつながります。

スマート農業導入における課題

ここまでスマート農業導入によって、さまざまなメリットや問題解決について紹介してきましたが、スマート農業導入には、問題がいくつかあります。

その問題の中で一番のボトルネックになっていることは、スマート農業の導入コストです。以前に比べると導入のコストは下がっていますが、まだ、通常の農機と比べると割高になっています。

次に、こうしたICT機器やロボットはメーカごとに特徴がある製品の為、どうしても問題になるのは、ソフトウェアーやデータ形式の標準化ができていないため、連携ができないといった問題もあります。また、スマート化に向けた人材の育成という視点でとらえても、現在のように、高齢化が進んでいる農業では、スマートデバイスをすぐに活用できないといった問題もあります。

これらのことから、スマート農業を導入するには、農家側にとって、金銭的、時間的、技術的な負荷がかかってしまいます。その上、これまでのように農機を導入する以上に覚えることが増え、パソコンやスマートフォン、タブレットなどを活用したデータ入力や分析などにもなれる必要があります。

参照元:SMART AGRI(スマートアグリ)(https://smartagri-jp.com/tag/IoT
SMART AGRI(スマートアグリ)(https://smartagri-jp.com/smartagri/20
upr(https://www.upr-net.co.jp/case/iot/usecase-24.html
今農業で何が起きているのか IoTで実現した技術革新とは(https://www.nttcom.co.jp/comware_plus/img/201702_iot_agriculture.pdf
農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/
オプティム 農業×IT(https://www.optim.co.jp/agriculture/
サウスピーク(https://souspeak.jp/ks/iot-agriculture/
minorasu(ミノラス)(https://minorasu.basf.co.jp/80147
マイナビ農業(https://agri.mynavi.jp/tag/%E8%BE%B2%E6%A5%ADIoT/

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