海外ではフォルクスワーゲンやBMWが10年以上も前から取り組んでいるIIoTに比べ、遅れをとっている日本。
このページでは、いまだIIoTが一部を除いて世界基準ではない自動車業界における課題を分析しています。 実際の事例は以下で紹介していますので、こちらもご覧ください。
新車の世界同時立ち上げを推進する車体メーカーの要請を受けて、自動車部品メーカーも同様に、新生産拠点の早期立ち上げや、生産移管が必須となってきています。
海外拠点で製造するための情報の収集に時間がかかっているようでは、車体メーカーからの短納期要求に応えられませんが、よくある課題として
「製造指示のベースとなるQC工程表こそ日本から送付したが海外の工場で、実際にどのような設備でどのように製造しているのかは現地任せ」というものがあります。
ソリューションを活用し、製造プロセス情報をグローバルレベルで統合管理すれば、グローバルで一貫した高品質なものづくりを実現することにつながります。コスト面でもメリットがあり、たとえば設計の段階で、設備の情報も参照できるようになれば、設備を全拠点で統一することが現実になり、固定費が大幅に削減可能になるはず。
自動車業界で起こるメガリコールは、対岸の火事ではありません。かつ、メガリコールを機に、業界全体が自動車部品メーカーに対しても品質トレーサビリティの高度化を求める傾向が強くなっているのが現実。
しかし、多くの工場では、製品や部品に不具合や設計変更が発生した時、それがどの工程や設備に影響するのか、すぐに把握できないことがあります。自動車業界に義務付けられているIATF16949(自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム規格)に対応するのも難しくなる…という場合にも、IoTによる解決が期待できます。
ソリューションによって部品・工程・設備をまたがって変更の影響範囲を特定できれば、上流・下流双方からの品質トレーサビリティ担保が可能です。
「マスカスタマイゼーション」による車種・仕様の増加や、「コネクテッド化・電動化」によるソフトウェア化のさらなる進展などにより、製造工程における品質の検証・検査項目はますます増加傾向にあります。
これらに対応するため、自動車製造・組立工場では、品質に関連する生産実績データや作業実績や設備データなどを完全に収集できるよう、生産管理システムや工程管理システムにIoTを統合した拡張・再構築が行われています。
これに加え、車体から得られるデータや修理データなども組み合わせ、さらには、AIを搭載した高度な分析ツールを購入し、不具合箇所の特定や不具合の予兆などの答えやヒントを得ることも可能な時代になっています。
しかし、「大量のデータ」や「高度なツール」を前にして、
といった課題に直面するというのが正直なところではないでしょうか。
変革に向けた取り組みを実際に推進していくためには、データとツールだけでなく、製造品質管理の業務を理解しながらこれらのデータを活用・分析するスキルや段階的に成果を生み出していくための方法論、製造部門だけではなく、サービスや設計などの各部門との横連携を確実なものにするためのプロジェクト管理など、社内的な改革も当然必要になってくるでしょう。