三菱日立パワーシステムズ(MHPS)では、AIの活用によるボイラーの燃焼調整の自動化に向けてシステムを開発、台湾公営の台湾電力(台湾電力股份有限公司)林口(リンコウ)火力発電所で実機への導入試験を行い、AIによる燃焼調整がベテラン技師による調整と遜色ない結果が出せることを2017年に実装済み。
AIを活用した火力発電所向け運転制御システムの中核を担うシステムの一つで、引き続き精度の向上や適用機能の拡大などの高度化に取り組んだ、ひとつの成果と言えます
このボイラーAIシステムは、ボイラー運転における大量・複雑なデジタルデータの解析による運転コストや保守管理コストなど発電コストの最適化、不適合予兆・早期検知などの機能を国内外の電力会社へ提供することを目指して、開発を進めていたもの。
燃焼調整試験は、元来はベテラン技師がプログラム実行時に設定する複数のパラメーター(指示事項)を調整することにより、排ガス特性、燃焼バランス、蒸気温度特性、ボイラー効率などのプロセス最適化を行うものです。今回の試験では、プロセス値の変化を学習させたAIシステムに調整試験での最適パラメーターを提案。その結果、AIが提案するパラメーターがベテラン技師の設定とほぼ同じになることを確認でき、バランスのとれたプロセス値を得ることができたそうです。
NEDOと東京大学、産業技術総合研究所は、風車の状態監視データとAIを活用した故障予知技術を2018年に開発。
国内の風車は部品の故障や事故によるメンテナンスのための停止時間が長く、海外の風車と比較して運転時間が短くなっていましたが、この成果により、停止時間を大幅に短縮し、風力発電の設備利用率が21%から23%に向上できることを確認しています。
まず、風力発電の実機における軸受損傷進展実験を行い、ごく初期の損傷から故障に至るまでの振動の変化を確認したうえで、東京大学と産業技術総合研究所が所有するAIの技術を適用し、風車用CMSデータを分析する方法を検討。
その結果、これまで困難とされてきた大型部品(主軸・増速機軸受)の異常兆候を検出可能な技術を開発し、さらに部品損傷進展モデルを活用した診断予測技術も開発することに成功しました。
これらの技術を適用し、国内にある43基の風車で実証した結果、交換意思決定の1~3ヶ月前での異常兆候検知を実現し、約9割の異常検知率を達成しました。これにより、停止時間の大幅短縮による風力発電の設備利用率向上を実現できます。