IoTと5Gを組み合わせるメリットとしてまず挙げられるのが「高速・大容量の通信が可能になる」という点です。IoTが適用される分野が多くなればなるほど、送信されるデータ量は多くなっていきます。このような通信は多彩な場面で用いられるために、滞りなく通信を行える環境は非常に重要といえるでしょう。逆にデータのやり取りに支障が起きたり遅延が起きたりすると、さまざまな部分で支障が起きてくる可能性あります。
このように、大容量のデータを高速にやり取りするにあたっては、5Gの特性を存分に活かせます。
5Gとの組み合わせによって4Gよりも多くの機器に同時に接続できるようになります。4Gの場合は「1つの基地局に100台程度」の同時接続ができるといわれています。しかし5Gとなると同時に接続できるのは「数万台程度」といわれており、段違いの多数同時接続が可能になる、というわけです。
スマートフォンやタブレットなどの機器を同時に多数接続できるようになることで、IoTを利用する際にもスムーズな通信が可能となります。
「低遅延」とは遅延なく情報を伝えられる、ということを指していますが、5Gは「エッジコンピューティング」と呼ばれる技術の導入によって、伝達の際の遅延が非常に小さくなる点が特徴です。
このことにより、例えば自動運転をする場合などリアルタイム性が重要視される分野でIoTを活用する場合、非常に大きなメリットがあるといえます。もし自動運転の最中にタイムラグが起きて制御が遅れてしまった場合、大きな事故につながる可能性があるためです。
自動運転は車に搭載されたカメラが周りを撮影してデータ化し、その情報をもとにしてAIが運転指示を出す仕組みとなっています。この分野にも、正確・安全な運転を実現するために5GとIoTを組み合わせた技術が用いられています。
自動車の運転は人命が関わってくるため高いリアルタイム性が求められる点が特徴。高速で移動しながらも大量の情報をやり取りするため、自動運転は「低遅延」を実現できる5Gの技術を活用できる分野であるといえるでしょう。
5Gに対応したIoT機器を導入した工場を「スマートファクトリー」と呼んでいます。近年では、人手が足りない点が問題となっている業界が多くみられますが、工場においても人手不足は課題のひとつとなっています。
このような状態の中でも生産性を上げるための方法として、スマートファクトリーの導入が挙げられます。導入が進むことによって工場の機械やシステム管理の遠隔操作が可能となるため、生産性の向上に加えて人手不足の問題の解決も期待できるといえます。
5GとIoTの組み合わせは、農業分野にも活用できます。スマート農業においては農機を遠隔監視下で無人作業を行えるようすることで、省力化が期待されています。ただし遠隔監視下における自動運転農機の作業を実現させるためには、広範囲での監視に加えて農機をしっかりと制御するといった点が求められます。
この部分についても5Gの多数同時接続が可能な点、超低遅延の通信が行える点などを活かすことができるといえるでしょう。